ガイドブック

給与計算に精通した人材の不足がグローバル展開を 危うくする可能性

給与計算に精通した人材の不足がグローバル展開を 危うくする可能性

 内部成長でも、合併や買収による外部成長でも、事業を拡大していく企業なら、初期段階から規制へのコンプライアンスを徹底した上で、新たな拠点の現地スタッフへの給与支払いを開始するべきです。

 しかしそのための給与計算を適正に行える人材が、容易に見つかるとは限りません。調査では回答者の61% が、自社の給与計算業務に人員不足の影響が出ていると答えています。1

 事業拡大を推進するなかで、高い専門性を備えた給与計算チームが事業全般にもたらす価値や、海外展開において果たす役割を過小評価してはいないでしょうか?

給与計算:なりゆきで就く仕事から自ら選択する専門職へ

 フランスやイタリアなど一部の国では、給与計算を、複数の分野を取り扱う専門職だと捉えています。人事管理と給与計算の学士課程や修士課程を設けている高等教育機関もあり、給与計算業務の中堅以上の役職にこのような資格を求める企業は多く存在します。応募者のなかには、社会保険料など特定の分野に特化し、それを強みにしている人もいます。

 給与計算は独特の複雑さを持つ業務ですが、多くの国では、それが「なりゆきで従事する」職種だと捉えられがちです。例えば、同僚の長期休暇に伴う穴埋めや、他部署からの応援で一時的に担当するだけだったはずが、そのまま給与計算チームに身を置くことになったというケースがあります。

 給与計算を偶発的なキャリアパスだと捉えるようになったのは、企業がこの業務を中核的ではないものと見なしてきたことにも原因があります。「会社が給与計算スタッフを雇った後で人員削減の対象とし、その後また必要になって雇い直すようなことは、今でもよくあるのです」と、Global Payroll Association のCEO、Melanie Pizzey 氏は述べています。

 従来型の会社組織では、給与計算チームは人事部門または財務部門の管轄下に置かれるのが一般的です(シェアードサービスセンターに属するケースも増えているが、人事または財務部門の管轄下という点は同様)。中核的とされる部門の補助的な立場に置かれた給与計算業務は、独立した専門分野としての地位をなかなか確立できずにいました。

 かなりの数の企業が、給与計算業務は担当外のスタッフがトレーニングを受けたうえで兼務していると回答しています(71%1)。これは多くの場合、給与計算が事実上誰にでもできる業務だと見られているからでしょう。

71%

 かなりの数の企業が、給与計算業務は担当外のスタッフがトレーニングを受けたうえで兼務していると回答しています(71%1)。これは多くの場合、給与計算が事実上誰にでもできる業務だと見られているからでしょう

給与計算業務に対する認識の変化

ここで潮目に変化がありました。2020年以降、給与計算チームに対するビジネスリーダーの見方が変わり始めます。

給与計算スタッフが、にわかにエッセンシャルワーカーと見なされるようになったのです。これは従業員の給与をオンプレミスで処理している企業で顕著でした。混迷を極める状況において一時帰休法など多くの規制が矢継ぎ早に導入されるなか、コンプライアンスを確保しながら確実に従業員の給与支払いを処理しなければなりませんでした。こうした状況を通じて、ビジネスリーダーは給与計算を間違いなく行うことがどれほど大変かを認識しました。給与計算がつまらない義務的なバックオフィス業務ではないことに気づき、事業に直接影響する機能として、そこに戦略的な可能性を発見したのです。

人材不足が給与計算を直撃

企業はあらゆるレベルで、給与計算業務の人員採用に苦慮しています。この懸念はなかなか解消されず、人事部門や財務部門のリーダーは、次世代の給与計算スタッフの確保に不安を感じています。

現在の厳しい労働市場が、給与計算部門にさらに大きな影響を及ぼしています。10社中8社(83%)が、事業全体で給与計算チームの拡大を目指していると回答しています。一方で、4分の3を超える企業(76%)が、単純に離職者の穴を埋めて、最低限チームの規模を維持することも重要だとしています。1

人員不足の影響が給与計算業務に及ぶと、規制上の大きな処分や、従業員の生活に対するリスクが生ずる可能性があります。

給与計算スタッフの退職理由

人口統計的な理由があります。給与計算チームの人員構成は従来、年齢層が高めの従業員に偏ってきました。2020年以降の労働環境の変化を受けて、多くの従業員が退職を早めた結果、給与計算業務は特に人員不足に陥りやすくなりました。

給与計算業務では、女性も大きな割合を占めています。Pizzey氏はこう述べています。「給与計算業務は『常時稼働』の性質があり、パートタイムには不向きです。パートタイム勤務を希望する女性にとっては不利になります。ジョブシェアリングは女性に支持されやすいものの、現状多くの企業はそれを積極的に進めていません。」

問題のある職種として敬遠されているのでしょうか?Pizzey氏によれば、個々の給与計算担当者の平均在職期間が短くなっているとはいえ、多くのスタッフは給与計算の専門職に留まっています。「給与計算のプロフェッショナルは失敗を避けようとします。正確に処理することの重要性を知っているからです」と、Pizzey氏は述べています。問題は、企業側がこうした担当者の貢献を十分に支えているかどうかです。世界の3分の2の企業が、給与計算の精度が89%に満たないと報告していますが、1企業はこのビジネスクリティカルな業務に対して十分な投資を行っているでしょうか?

企業は給与計算のスキル不足にどう取り組んでいるか?1

  • 81% 既存の給与計算スタッフのスキルを高め、働き方を変革している。
  • 76% 離職した給与計算スタッフの穴埋めをしている。
  • 71% 給与計算を専門としない既存のスタッフに給与計算業務のトレーニングを行っている。65% 少ない人数で給与計算を行う方法を模索している。

給与計算に精通した人材の不足が成長の足かせにならないようにする

給与計算のあり方の変化

従業員の給与を期日どおり正確に支払うのは必須の業務です。そのための人材の採用と維持に注力する必要があるのは、給与計算部門のリーダーだけではありません。企業の給与計算オペレーションに対する要求が高まるにつれ、一般的な給与計算チームの責任も拡大しています。

これにより、専門技術を持つ人材を確保する必要性が高まっています。求められる能力は、データ分析やデータセキュリティから、ビジネスプロセスの改善、コンプライアンス、ITの専門知識にまで及びます。こうした変化を促す大きな要因として、上級管理職チームが、日常の意思決定と長期的な戦略策定の両方に役立つデータ主導の洞察を求めていることが挙げられます。

給与計算の専任担当者が行っていること

実際、給与計算を担う部門の約3分の2が、次のスキルセットを持つ専任のスペシャリストを加えて能力を強化しています1

  • 69% 給与計算処理のプロフェッショナル
  • 69% IT(技術)人材
  • 67% データセキュリティ
  • 65% ビジネスプロセスの改善
  • 64% 分析と提言を行う人材
  • 62% コンプライアンスのエキスパート

さらに、4分の1を超える企業が、現時点でこうした人材はいないものの、将来的に確保したいと考えています。

海外展開に備えて、調査回答者の83%がグローバル事業全体で給与計算チームを拡大しています。また同じ割合の企業が、1つまたは2つの国でチームを増員しています。給与計算に精通した人材を社外に求めることが難しいと答えた53%の企業のように、給与計算担当者を採用する難しさに気づくこともあります。1

現在の給与計算担当者にはさまざまなスキルが求められるようになりました。要求は今後も増えていくでしょう。事業拡大を支えるのに必要なスキルプロファイルを明確にイメージできるでしょうか?社内スタッフとアウトソーシング先のグローバル給与計算パートナーのスキルセットを最大限に活かすには、社内の給与計算部門をどのように構築すればよいでしょうか?

1 ADP, The potential of payroll in 2025: Global payroll survey

ADPグローバル給与計算 サービス

業種や国と地域を問わず、ADP が給与計算サービスを提供します。

ADP のグローバル給与計算サービスの詳細を確認

関連リソース

グローバル拠点の給与計 算業務を一元管理:ベン ダーとのパートナーシップ で価値を最大化できてい ますか?

ガイドブック

グローバル拠点の給与計 算業務を一元管理:ベン ダーとのパートナーシップ で価値を最大化できてい ますか?

Everest Multi-Country Payroll (MCP) Solutions PEAK Assessment 2025

外部調査レポート

Everest、複数国対応の給与計算ソリューションを対象としたPEAK Matrix Assessment 2025においてADPをリーダーとして表彰