2024 年版 働く人びと:世界の労働力の状況
この 4 年間、ADP Research Institute では 、全世界の働き手を対象に、パンデミックの以前とそのさなか、そしてその後の働き手の経験ついて調査してきました。調査を通じて、極めて深刻な経済状況のなかで世界が歩んだ道のりと、それに続く生活費の高騰、さらにリモートワークとハイブリッドワークにまつわる大きな変化が明らかになりました。このような節目を経験するなか、「働く人びと」では、全世界の労働力がどのように適応し変化してきたか浮き彫りにしてきました。世界はパンデミックが原因の混乱から脱しつつありますが、変化の速度は低下していません。新たな機会や課題により労働市場が変革されるなか、働き手は、いくつかの点で優先順位がこれまでと同様です。例えば、報酬や雇用の安定をとても重視しています。しかしその一方で、テクノロジー、ストレス、変化する職場の規範に対する懸念を感じています。
2024年版 働く人びと: アジア太平洋での 労働力の状況
各国の特性
オーストラリア
オーストラリアの働き手が雇用の安定を重視する傾向 は 、アジア太平洋の他の地 域(51%)に比べて低く(42%)、勤 務 時 間の柔軟性の方を重視する傾向があります。雇用主が実現している雇用の安定に満足している人は 76%で す が 、これ は 全 世 界( 81%)、アジア 太平洋全体(83%)と比べるとかなり低い割合です。また、オーストラリアの雇用主は、財務的な健全性に関するアドバイスの働き手への提供に関して改善の余地があります。このような情報を受け取っているという回答者はわずか 43%であり、アジア太平洋(67% )と 全 世 界( 61% )と 比 較して 大 幅 に 下 回っています。働き手の貢献が評価される割合も大幅に低くなっています。
中国
中国の働き手は雇用の安定を極めて重視しており、84%が雇用の安定の水準に満足していると回答しています。この規模は、全世界で最大クラスです。中国の働き手は、仕事に対して給与が見合っていないと感じる傾向が他のどの国よりも低く、積極的に転職しようとしているのは 13%のみです。この割合はアジア太平洋で最小です。半数の回答者が、給与の支払い不足を経験したことはないと回答しています。これは所属する地域と全世界の結果(どちらも 38%)よりも高い割合です。仕事で毎日ストレスを感じていると回答している中国の従業員の割合はわずかですが(8%)、女 性(42%)の方 が 男性( 27%)よりも仕事に関係したメンタルヘルスの問題を経験していると回答する傾向が大幅に高くなっています。
インド
インドの働き手は、職場に柔軟性があると報告する割合が最高ですが、76%が仕事のストレスに悩んでいると回答しています。これは、今回の調査で最大の割合です。48%を超える回答者が、自身の仕事がメンタルヘルスの悪影響を受けていると感じています。これは他のどの国よりも高い割合です。40%以上が複数の収入源をもつと回答しており、これも全世界最高の割合 で す。し た が って、インド の 働 き 手 が 転 職 を 検 討していると回答する率が高いのは当然のことであると考えられます。ただし、まさに同じ働き手が現在の雇用に対して非常に高い満足度を示しています(81%)。この割合は全世界で最大です。
日本
調査対象のすべての国のなかで、日本は満足している働 き手の割合が最小でした(46%)。実 際、アジア太平洋諸国のすべての働き手のなかで、日本の働き手は、自身のキャリア形成、男女間の賃金の平等、環境に対する配慮、雇用主の貢献や経済的・精神的な健全性への配慮に不満を抱いていると回答する傾向が高くなっています。また日本は、給与、仕事での評価、精神面での健全性、職場での安心感に関する満足度について、性別間の差異が最も大きい国であり、女性はこのような分野について男性よりも満足していると回答する傾向が高くなっています。しかし、半数を上回 る日 本 の 働き手は、この 1 年で転職を検討したことがないと回答しており、この回答の割合は他の国よりも大幅に高くなっています。
シンガポール
シンガポールの働き手は調査対象の他のどの国よりも給料を重視しています(71%)。しかし 、報 酬 に 満足しているのは半数未満であり、アジア太平洋地域(67%)や 全 世界(65%)と比較して満足している働き 手 の割合は低くなっています。シンガポールの働き手の約 81%は収入源が 1 つであると回答しています。これ はアジア太平洋 地 域の国では最大の割合です。また、比較的高い割合(27%)の働き手が雇用の安定に不安を感じています。シンガポールの場合、同じ地域や全世界の他のどの国よりも、雇用主が性 別間の給与の公平性、環境への配慮、ダイバーシティを改善していると報告する割合が低くなっています。興味深いのは、オーストラリアの対象者は最もストレスを 感 じや す いと報 告しており、平 均 で 1 週間に 12 回ストレスを経験しているにもかかわらず、ストレスが仕事に悪影響を与えていると回答する傾向が最も低いことで す( 悪 影 響があると回答しているのは 57%)。一方、アジア太平洋地域でオーストラリアに次いでストレスを感じやすいと報告している国であるインド(1 週間に 11 回ストレスを経験)では、ストレスが仕事に影響していると 76%が回答しています。オーストラリアの対象者の 24%とシンガポールの対象者の 21%が、雇用主が DEI の取り組みに参加していないと回答している一方で、中国での同様の回答は 11% で あ り 、イ ン ド で は 6%です。
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