目まぐるしく変化する世界情勢の中、不透明さが一層増す今、多くの企業 が新たな成長機会を求めて海外市場への進出を模索しています。しかし、 「どの国に進出すべきか」は簡単に答えが出る問いではありません。業 界特性や現在の拠点、企業規模といった多様な要素が意思決定に影響を 与えます。
加えて、グローバル市場の変化とテクノロジーの急速な進化は、成長志 向の企業にとって新たな可能性をもたらしています。
では、企業が目指すべき新たな市場とはどこでしょうか?そして、海外進 出は人事や給与にどのような影響を及ぼすのでしょうか?

企業が投資を集中させている地域
国際通貨基金(IMF)の報告によると、2023年の海外直接投資は過去最高の41兆 ドルに達しました。
米国が引き続き最大の投資先である一方で、シンガポール、ドイツ、そしてインド・ メキシコ・ブラジルといった新興国が急成長を見せています。特にこの3カ国では、 2009 年以来最大となる約1,300億ドルの増加が記録されました。
一方で、オランダやルクセンブルクでは減少傾向が見られるものの、依然として米国・ 中国・英国と並ぶ有力な投資先としての地位を保っています。1
テクノロジー、とりわけ AIの進化は、市場開拓だけでなく、ビジネスの進め方そのも のにも変革をもたらしています。新たな市場を見極めつつ、リスクとのバランスを取り ながら柔軟かつ先進的な姿勢を持つことが、今の時代の成功の鍵と言えるでしょう。
海外展開で人事・給与が直面する現場の課題
新たな市場には、固有の制度や文化、ビジネス慣習があります。どの国に進出するにしても、以下の観点は避けて通 れません。
- 労働法、税制、政府の優遇措置
- 法人設立手続きのしやすさ
- 文化的背景や商習慣
- 経済動向と政治的安定性
- 現地で必要な人材の確保
人事部門がとくに懸念するのは、スキルを備えた人材の採用・マネジメント、そして現地の雇用慣行や法令への対応です。こうし た課題が進出スピードを鈍化させるだけでなく、準備不足のまま進出すれば、思わぬコストやリスクを招く可能性もあります。
給与業務の落とし穴を回避するために海外展開時に陥りやすい給与管理の課題は、大きく2つに分けられます:
-
システム面の整備
- 複数プロバイダーのシステム導入によ り、給与計算にミスが生じる可能性が上 がり、有用なデータへのアクセスが困難 になる
- データセキュリティの確認 — ハッカー たちの手法がますます洗練されているた め、機密情報の保管と移動の方法を見直 す必要がある
- 一部の企業では未だにスプレッドシート を使用しているため、安全性に欠け、バー ジョン管理が自動化されていない
-
準備不足による法的リスク
- 進出先の国で必要な法的枠組み(子会社、支社、 記録上の雇用主の活用など)を整えておかないと、 不要な税金や法的リスクを背負う可能性がある
- 包括的な要件のレビューを実施することで、人事 チームが新しい国の労働法やその他の要件を完全 に理解できるようにする必要がある(ビザの分類 から食事券に至るまであらゆる要件)
- 従業員の契約書が正しく作成されていることを確 認し、国の団体交渉や組合の期待に沿っているか 注意する
グローバル展開を成功させるためには、 現地の法制度と文化に精通したパートナー を見つけることが重要です。事前の調査・ 準備を丁寧に進め、プロセスやシステムを 標準化しておくことで、企業は自信を持って 次のステージに進むことができるでしょう。
