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一橋大学 楠木 健氏に訊く
「稼ぐ力」の本質と強化のための道標

給与計算の基本をわかりやすく解説

一橋大学 楠木 健氏に訊く |「稼ぐ力」の本質と強化のための道標

企業にとって「稼ぐ力」を獲得することが重要になっています。市場競争を勝ち抜き、企業が成長し続けるためには、中長期的な視点で収益増とコスト削減を図る方法を確立しなければなりません。企業ごとにそのための方策は変わりますが、違いを超えた共通項もあります。競争戦略を専門とする一橋大学の楠木 健氏と、ADP Japanの坂内 勝実が、稼ぐ力を強くするための手立てについて語り合いました。

「稼ぐ力」が弱い企業には共通点がある

インタビュー記者

企業の「稼ぐ力」が問われています。思うように成果が上がらない理由をどのように捉えていますか。

坂内:

稼ぐ力にはいくつかの見方がありますが、重要な指標となるのが「資本効率性」と「生産性」だと私は考えています。一般的に、日本企業のROE(自己資本利益率)、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)はいずれも欧米に比べて低水準です。労働生産性も、ここ10年でOECD加盟国内20位から30位へと大きく順位を落としています。資本効率性と生産性を高めることが、稼ぐ力を取り戻すカギになると思います。

楠木:

稼ぐ力の重要性についてはその通りだと思います。ただ、「日本企業」という大きな括りで論じることには注意が必要です。なぜなら、経営は非常に個別的なものだからです。

競争の主体は「個別の企業」か「個別の事業」しかありません。各社は規模も歴史も内容も様々で、くくるにはあまりにバリエーションが大きい。例えば、日本企業の中でも製造業の現場の生産性は世界トップクラスです。また、シリコンバレーの会社といえば、業績好調なテック企業をつい連想しますが、ぱっとしない企業も無数にあります。このように、個別の企業や事業を見ないと、本当の稼ぐ力を考えることはできないと思います。

坂内:

おっしゃる通りですね。個々の違いは認識しつつ、資本効率性と生産性が低い水準にある企業は、どうすればそれを高めていけるのでしょうか。

楠木:

有名な小説の書き出しに「幸せな家族はどれもみな同じようにみえるが、不幸な家族にはそれぞれの不幸の形がある」という一節があります。私は、企業経営はこの逆だと考えています。つまり「好調な企業の原因はそれぞれだが、いまいちな企業の原因はどれも同じ」。稼ぐ力が弱い企業を見ることで、回避するべき共通点が見えてきます。

インタビュー記者

共通点とはどのようなものですか。

楠木:

例えば、経営者というものは、一般的に環境のせいにしがちです。「少子高齢化で市場が縮小している」「いい人材が集まらない」――。確かにそうかもしれませんが、それなら別の国で事業をすればいい。おそらく、どこの国に行っても同様の愚痴をこぼすと思います。

一流の経営者は環境のせいにしません。すべて自分の責任と考え、意思決定を行います。今の環境で何ができるかを考えるのが経営なのです。

「存続すること」を目的にしてはいけない

インタビュー記者

ほかにも、経営者に求められることを教えてください。

楠木:

意識して欲しいのは、「企業の存続を目的にしない」ということです。存続を目的にするから組織が硬直化し、変革も進まないのです。

坂内:

確かに「生き残るために当社は云々」などという言葉を、よく耳にします。

楠木:

企業の目的は稼ぐことです。稼いだら、その価値を顧客や株主、社会などのステークホルダーに還元する。還元するものは、顧客なら製品・サービス、株主なら配当、そして社会には税金です。このシンプルさが、企業経営の絶対的な美点だと私は思います。

同時に、「営利活動と社会的行動は両立する」ということを理解することが大切です。経営者の中には、渋沢栄一が『論語と算盤』で伝えたことを「営利目的の行動(算盤)は暴走しがちだから、道徳(論語)でセーブせよ」と解釈する人がいますが、そうではありません。渋沢さんは「算盤だけを目指すのでは欲がない。道徳的な商売が最も長期的かつ大きく儲かるのだ」と説いているのです。

長期的に考えれば、ステークホルダーへの貢献をビジネスに組み込むことが稼ぐ力を最も高める道になる。稼いで、その企業が存続できるようになれば、関わる人や社会がハッピーになる。この順番を間違えないでいただきたいですね。

ノンコア業務は切り分けて、分業せよ

インタビュー記者

昨今はデジタル技術が目覚ましく進化しています。稼ぐ力を高める上で、テクノロジーはどのような役目を果たすとお考えですか。

楠木:

非常に大きな効果をもたらすものだと思います。ざっくり言って、企業の利益は「売上-コスト」であり、稼ぐためには売上を増やすかコストを減らすか、その両方かしかありません。売上を増やすには戦略が要るので、その実践に向けた時間や投資、人材が必要になります。その点、コスト削減は比較的容易です。デジタルを使えば、無駄な作業を減らせるうえ、出力のスピードも正確性も上げられる。効果が出るところから、どんどんデジタルを使うべきだと思います。

インタビュー記者

ADPは、稼ぐ力を高める手段として、デジタル技術を活用した給与計算アウトソーシングサービスを提供しています。提供価値を教えてください。

坂内:

稼ぐ力を高めるには「やらないこと」を決めることが大切です。その点、給与計算はお客様にとってコア業務ではなく、ルールも決まっているため、社内でやっても社外に出しても大きな違いは生まれません。アウトソースすることで、社員のリソースをコア業務へ集中させられるようになります。これが最大のメリットです。

また、従業員の給与に関する情報は非常にセンシティブなため、間違いや外部への漏洩は絶対に許されません。その点ADPは世界140か国で事業を展開しており、日本でも20年前からサービスを提供し、セキュリティやコンプライアンスの深い知見を築いてきました。ADPは、Fortune 500企業の中で、グローバル水準のセキュリティを提供できる数少ない企業の一社です。

楠木:

経済の基本概念の1つが「分業」です。コア/ノンコア業務を切り分け、分業することは、アダム・スミス以来の前提ですが、実は意外に多くの企業ができていません。その意味で、ADPが提供する給与計算アウトソーシングの価値に気付けるかどうかは、経営者の優劣を測るリトマス試験紙になりそうですね。

坂内:

ありがとうございます。

楠木:

ちなみに、日本には給与計算業務を社内で行う企業が多くあります。その理由はどこにあると考えていますか。

坂内:

そもそも「全体を統治する」という考えが海外企業に比べて希薄な気がします。特にグローバルに事業展開する企業は、アウトソースしたほうが効率的ですが、現地のことは現地法人に任せている。ただその結果、給与計算のシステムやプロセスがバラバラで、給与未払いや不正などの不祥事も、監査が入って初めて発覚するといったケースが起こっているようです。

楠木:

なるほど。それでも社内にこだわる企業には、何か戦略上の理由があるのかもしれませんね。そのくらい、ノンコア業務をアウトソースするのは自然なことだと思います。

インタビュー記者

業務のアウトソースは、生産性向上にも寄与しますね。

坂内:

例えば、日本の製造業にしても、ホワイトカラーの方の生産性にはまだ改善の余地があります。給与計算アウトソーシングは、その改善の一手として機能すると思います。

楠木:

勉強でも何でもそうですが、簡単なものから難しいものへ進んでいくのが人間の鉄則です。これを経営に当てはめると「すぐ成果が出るもの」「難しくないもの」からやるべきということになるでしょう。

独自性とか、イノベーションなどと言う前に「凡事徹底」、これが肝心です。現時点でのマイナスは“伸びしろ”でもあります。繰り返しますが、優れた経営者は絶対に環境のせいにしません。自社がどうあるべきかを考え抜き、問題を見つけたらすぐに手を付けてほしいと思います。

坂内:

稼ぐ力を高める上で、バックオフィスの見直しやデジタルの活用が有効な一手になることを改めて実感できました。

インタビュー記者

本日はありがとうございました。

楠木教授 

楠木教授

一橋大学

PDS寄付講座・シグマクシス寄付講座

特任教授

楠木 健氏

ADP 坂内  

ADP 坂内

ADP Japan合同会社

執行役員 営業本部長

坂内 勝実

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