新型コロナウイルスの感染拡大は、あらゆる規模のビジネスにとって過酷なものでした。グローバル企業の 74%は、依然として複数の地域で複数のシステムを使用しており、リモートワークへの頻繁な突然の変更や、 より迅速で正確なレポーティングの必要性が生じたことにより、多くの企業が対応に苦慮しました。[1] 連結ベースでの HCM 開示はグローバルなトレンドとなっており、各国の法規制は今後も強まるでしょう。大きな組織がグローバルな意思決定を下すにあたって正確性と信頼性のあるデータにアクセスすることは難しく、コンプライアンス上の要求に対応できず罰金を科されるリスクに絶えず直面しています。多くのグローバル企業向け給与計算システムが弱点を持っているのは明らかなのに、給与計算は企業支出の最大 60%を占めており、軽視されることもしばしばです。[2]

国際的なビジネスで求められるもの

国際ビジネスを対象とした最近の ADP のグローバル企業向け給与計算調査では、各社の給与計算業務に関する今後の課題に共通するテーマが浮かび上がりました。

  • より堅牢なレポート分析 – 企業の戦略、計画、HCMの開示に役立つ情報の提供
  • より迅速なレポート作成 – 必要に応じた情報提供
  • データセキュリティの強化 –コンプライアンスの改善
  • 給与計算プロセスの合理化 –

ミスとコストの削減、従業員の満足度の改善。しかし、ヘンリー・フォードが残した格言によれば「同じことをしていれば、同じものしか手に入らない」のです。新型コロナウイルスの予期せぬ影響として、世界的な金融の大混乱、プライバシーとセキュリティのリスク、給与計算に関する法規制がわずか 30 日間で [3] 倍に増加したことが挙げられますが、それらが高額で旧式の給与計算システムと組み合わさると、最悪な状況になりかねませんでした。[4]

グローバル企業向け給与計算とは?

グローバル企業向け給与計算とは、単に複数の国で従業員に給与支払いを行うプロセスのことだと思われるかもしれません。しかし、理想は単一の給与計算ソリューションを使って、複数の国や地域でレポートを一元化し、給与計算を効率的に行うことです。理論的には上手くいきそうですが、新型コロナウイルスの感染拡大以降、多くの企業がグローバル企業向け給与計算で大きな問題に直面していたのは何故でしょうか?

新型コロナウイルス後のグローバル企業向け給与計算の課題

ADP は、いまだにオンプレミスの給与計算や目的に合わないベンダーを使い続けている大規模な組織にとって重要な、3 つの改善領域を明らかにしました。

最適化

バラバラのつぎはぎだらけのシステムを使っていると、経営幹部から求められるデータの量や頻度が増えるでしょう。これは提供する情報に一貫性がなく、解釈しづらいためです。対照的に、14%の企業は人事や財務システムと完全に統合された真のグローバル企業向け給与計算を使用しているため、業務の複雑さは軽減され、コストを最適化できました。

可視性

2 つ目の重要な課題は可視性です。複数のシステムをほとんど統合せずに使っていると、給与計算の全体が見えにくくなります。 調査対象者の 73%はコストを明確に可視化できておらず、給与計算のデータが手元にないため、会社の戦略的方向性を決める際に活用することができません。[5]

アジリティ

3 つ目の問題はアジリティです。61%の企業は、新型コロナウイルス感染拡大時に給与計算を自社固有のニーズに適合させることができませんでした。しかし、統合されたグローバル企業向け給与計算システムがあれば、チームにアジリティが生まれ、統合された設定可能なデータをすばやく分析し、しかるべき対応をとることができました。グローバルな市場は絶えず変化しているため、即座にレポートを提供できることの価値は計り知れません。しかし、ADP の調査によれば、70%の企業は将来のディスラプションや規制上の大きな変更への備えができていないと感じています。[6]

今こそアウトソーシングする時?

ADP の調査によれば、ビジネスリーダーの 75%は給与計算プロセスの全体または大部分のアウトソーシングを検討する用意があるとのことです。[7]さらに心強いことに、97%は給与計算情報をコスト管理戦略における重要な検討事項と見なしていて、87%は給与計算を商業目標と成長目標の基本的な部分と捉えています。グローバルな給与計算サービスを信頼できるサードパーティのエキスパートにアウトソーシングすることは、このプロセスのきわめて重要な部分です。なぜでしょうか。適切なグローバル企業向け給与計算サービス業者にアウトソーシングすることで、オンプレミスのソリューションにはない数多くのメリットが得られるのです。

適切なグローバル企業向け給与計算サービス業者にアウトソーシングすることで、オンプレミスのソリューションにはない数多くのメリットが得られるのです。

アウトソーシングのメリット

  • コンプライアンスを自社で管理しようとした際に、社内ソリューションを使用しているせいでビジネスが危険にさらされたと感じた回答者は、19%に上りました。グローバルな給与計算をアウトソーシングしている企業の場合、この数字はわずか 2%です。[8]
  • スケーラブルなクラウドベースの統合ソリューションは、お客様のビジネスとともに成長します。スタッフへの日々の支払いをセキュアに効率よく、期日どおりに行い、国際的な給与計算ソリューションを地域のニーズに合わせて提供します。さらに、多国籍な給与計算データの単一ビュー表示による鋭い洞察や、給与計算のエキスパートによるコンプライアンス維持が実現します。
  • Forrester Consulting が ADP の委託で行った調査では、ADP のグローバル企業向け給与計算ソリューションを利用している国際的な組織では投資利益率が 134%に達し、給与計算処理業務が最大で 75%削減され、180万ドルのコンプライアンスコストが回避されました。[9]

グローバル企業向け給与計算業者を利用する理由

グローバルな給与計算をアウトソーシングすると、貴重な時間を節約できます。規制関連の業務を行い、コンプライアンスリスクを軽減し、アジリティを高められるうえに、採用のコストをかけずにスキルギャップを埋めることができます。[10]それに加え、人事や財務システムと完全に統合された簡素化されたグローバル企業向け給与計算プロセスがあれば、業務の複雑さが軽減するだけでなく、不要なソフトウェア料金を支払わなくて済むため、コスト削減にもつながります。

2019 年の「EY Global Payroll Survey(EY の給与計算に関するグローバル調査)」によると、人事と給与計算のリーダーのうち 65%は、真にグローバルなデリバリーモデルが組織に多大なメリットをもたらすと認めています。グローバル企業向け給与計算サービス業者を利用している会社の支出は、プロセスの最適化で平均 32%以上、標準化で 20%以上抑えられ、生産性向上によりリソースを 50%削減できました。[11]

データの役割

一貫性と正確性のある 1 つの情報源を持つべきだと上級管理職が示唆したことも重要です。給与計算全体を可視化できれば、大企業がとるべき戦略的方向性がより明確に見えてきます。あらゆる会社の取引状況が不安定化する中で、事後対応ではなく事前対策を行うためのリソース、洞察、正確な予測は不可欠な要素です。

アジリティを高める

アジリティについては先ほども触れましたが、給与計算システムを最適化・簡素化した多国籍企業は、複数のソリューションをやりくりする企業と比べて、より迅速で、より効率的な対応が可能です。シンプルなプロセスと、統合されたグローバル企業向け給与計算システムにより、チームはスケーラブルな対応を取れるため、成長につながりやすくなります。[12]さらに、給与計算を迅速化すれば、従業員の好みの変化や新しい働き方にすばやく対処できるため、従業員エクスペリエンスを改善できます。最高レベルの給与計算ソフトウェアと最新の給与計算システムは、国境を越えてリモートで活用できます。また、グローバルな給与計算を最適化すれば、フレックスタイムなど人気のある福利厚生をサポートしやすくなります。[13]

変革がお客様のビジネスにもたらすもの

新型コロナウイルス感染拡大を乗り越えた私たちにとって確かなのは、古いビジネスのやり方が完全に通用しなくなったことであり、給与計算も例外ではありません。ADP の調査によれば、企業は最適化されたグローバル企業向け給与計算システムにより、スタッフが単なる給与計算処理ではなく、将来の戦略に役立つ洞察を提供するデータアナリストのような役割を担えるようになったと感じています。これは将来的な示唆も含んでいます。

今、企業に求められているのは、現状を把握しながら、さらなる健康面や経済面の危機、あるいは新たなビジネスチャンスなど、今後発生するあらゆる課題に対応できるアジリティと柔軟性を備えたグローバルな給与計算システムを構築することです。給与計算担当者の 60%は、真にグローバルな給与モデルは組織にとって有益だと認めています。今こそ、給与計算の戦略的役割を確立し、バックオフィスではなくフロントオフィスに、会社の中心に据える時です。[14]そうすることで、ビジネスを継続していくだけではなく、ビジネスの発展につながるでしょう。

適切なグローバル企業向け給与計算サービス業者とともにより強い会社へ

適切でない業者にゆだねてしまうと、グローバルな給与計算管理は困難になるかもしれません。しかし、ADP のような適切なグローバル企業向け給与計算サービス業者と連携すれば、ソフトウェア、ツール、アドバイスが利用でき、ビジネスのレジリエンスとコスト効率を高めることができます。

ADP には 140 か国以上でグローバルな実績があり、Fortune 100 企業のうち 90%以上から信頼され、6,800 万人以上の従業員への支払いを安全に行っています。国際的な給与計算の処理方法について ADP のエキスパートへのご相談を希望される場合は、お気軽にご連絡ください。


[1]ADP、「給与計算の新たな展望 – 給与計算業務のトレンド」「Global payroll survey(グローバル企業向け給与計算調査)」、2021年。

[2] Deloitteによる分析、「Labor spending or overspending?(労務上の支出か過剰な支出か?)」、2017年。

[3] ADP、「給与計算の新たな展望 – 給与計算業務のトレンド」「Global payroll survey(グローバル企業向け給与計算調査)」、2021年。

[4] ADPによる分析、2021年。

[5] ADP、「給与計算の新たな展望 – 給与計算業務のトレンド」「Global payroll survey(グローバル企業向け給与計算調査)」、2021年。

[6] ADP、「給与計算の新たな展望 – 給与計算業務のトレンド」「Global payroll survey(グローバル企業向け給与計算調査)」、2021年。

[7] ADP、「給与計算の新たな展望 – 給与計算業務のトレンド」「Global payroll survey(グローバル企業向け給与計算調査)」、2021年。

[8] ADP、「給与計算の新たな展望 – 給与計算業務のトレンド」「Global payroll survey(グローバル企業向け給与計算調査)」、2021年。

[9] Forrester Consulting、「ADP Global PayrollのTotal Economic Impact(総経済効果)™」、2020年10月。

[10] ADP、「Take a new look at pay: Optimising Payroll ebook(給与計算の新たな展望:給与計算最適化の電子ブック)」、2021年。

[11]Nelson-Hall、「Next Generation Payroll study(次世代の給与計算調査)」、2019年。

[12] ADP、「給与計算の新たな展望 – 給与計算業務のトレンド」「Global payroll survey(グローバル企業向け給与計算調査)」、2021年。

[13] ADP、「Take a new look at pay: Optimising Payroll ebook(給与計算の新たな展望:給与計算最適化の電子ブック)」、2021年。

[14] 「EY Global payroll survey(EY グローバル企業向け給与計算調査)」、2019年。