ADPはあらゆる規模や分野の企業を対象に400件を超える監査を行い、そこで得た結論を「TCO Analysis by ADP 2021: ‘Faced with a business crisis, is payroll outsourcing the solution? Identifying the true cost of HR administration(ADPによるTCO分析2021年版:ビジネスで危機に直面した時、給与計算のアウトソーシングは解決策になるか?人事管理の真のコストを明らかにする)」と題したホワイトペーパーで公表してきました。
この記事では、ADPのホワイトペーパーでも明らかにされている、給与計算のアウトソーシングによるコスト削減のメリットについて取り上げます。
ようこそ、「ニューノーマル」へ
給与計算をアウトソーシングするか、社内で処理するかという決定は、どのような状況でも戦略的に重要です。新型コロナウイルスの感染拡大に見舞われる中で、危機に対するアジリティを高めることは、企業が生き残るためにより不可欠になってきています。人事チームには効果的なコスト管理に加えてスタッフのウェルビーイングの保護という新たな責任が生じており、両者のバランスを取るうえで、これは特に重要です。
困難な状況はさらに広がりを見せていますが、人事チームは一丸となって、給与計算と人事の管理業務を継続していかなければなりません。そこで、次のような問いが生じます。コストをコントロールするために給与計算をアウトソーシングするか、引き続き社内で対応するか?
アウトソーシングの是非は?
ADPのホワイトペーパーによれば、アウトソーシングすべきかすべきでないかを判断する際、次のような質問の答えを自分で考えてみる必要があります。
- 社内の人事部門は、競合他社と差別化するためのビジネス戦略を持っているか?
- アウトソーシングしないで、社内のリソースを活用することは可能か?
- 会社は人事部門が自律的に動くためのコストを負担する用意があるか?
このような自問は、給与計算と人事のタスクのうち、どれを社内で引き続き処理し、どれをアウトソーシングするかをチームが識別する際にも役立ちます。ADPのホワイトペーパーからは、次のようなタスクの配分が浮き彫りになりました。
ホワイトペーパーでは、給与計算と人事の各部門をオンプレミスで運営することを完全には否定していませんが、自動化に対する継続的な投資は必要だと明記しています。一方、人事データの管理にはスペシャリストレベルの能力が必要で、社内で賄うのは困難かもしれません。また、ソフトウェアの設定は継続的に費用がかかり、技術的に難しい場合もあります。では、誰に頼れば良いのでしょうか?
アウトソーシングで生産性を高める
一方、ADPがフランス、イタリア、スペイン、英国、オランダ、ドイツで行った調査では、給与計算と人事の管理業務のアウトソーシングによって生産性が55%上昇したことがわかりました。アウトソーシングすることで人事チームは管理業務に必要なリソースを半減させ、人事関連の重要な業務に注力できるようになったのです。
なぜアウトソーシングでコストを削減できるのか
ホワイトペーパーで明らかになったのは、サービス業者には給与計算と人事管理における数多くの法的・技術的発展に対応するリソースがあることでした。クライアントはサービス業者の法務エキスパートのチームから支援を受けられるため、コストの大部分を自己負担する必要がなくなります。コストを削減する他の取り組みとしては、効率性の改善、サービスの継続性の強化、クライアントデータの信頼性の確保を目的とした、サービス業者による製品機能の定期的な更新が挙げられます。また、サービス業者がコスト削減に役立つベストプラクティスをクライアントと共有する場合もあります。
3つの領域でコストを削減する
会社としてアウトソーシングする場合は、3つの領域を最適化することになります。リソース、従業員、プロセスです。さらに、まず人事の管理業務をアウトソーシングすれば、これら3つの領域全体でコスト削減が実現するでしょう。給与計算管理、病欠管理、人事管理業務など、特に反復的なプロセスをサービス業者に処理してもらうことで、会社はコストを削減できます。また、コンプライアンスを確保しながら時間をかけてサービスを改善し、品質レベルを維持することも可能です。
アウトソーシングでアジリティを高める方法
アウトソーシングによって堅牢でスケーラブルなソリューションが得られるため、人事チームの時間とリソースに余裕が生まれ、予期せぬ事態にもすばやく対応できるようになります。給与計算と人事管理業務をアウトソーシングすれば、会社はコアビジネスに注力しながら、より戦略的にリソースを配置して生産性を高められます。
アウトソーシングは、次の面でも有益かもしれません。
- ソフトウェアライセンスを購入し、給与計算と人事管理業務のソフトウェアを更新する必要がなくなるため、投資の必要性が低下する
- ビジネスが市場の状況に適応する必要性を反映し、管理業務を固定費から変動費に移行する
- 余分な出費をすることなく、人事部門が複数の場所の管理に適応できるようになる
- クライアントが最新のソリューションを購入しなくてもサービス業者が提供してくれるため、支出を抑えられる
アウトソーシングによってビジネスに集中しやすくなる
ADPの調査からは、中規模企業の人事チームは勤務時間の45%を反復的な管理業務(給与計算(18%)、休暇管理(13%)、人事管理業務(14%))に費やしていることが浮き彫りになりました。チームに過剰な負荷がかかり、規制が増え続ける状況において、アウトソーシングはチームに戦略的任務に集中する時間をもたらすだけではありません。法務や規制のエキスパートによるガイダンスを受けられるメリットもあるのです。
長期的なアウトソーシングパートナーを選ぶ
アウトソーシングするのにふさわしい給与計算業者を選ぶ際は、自社のビジョンを共有し、ビジネスニーズを理解してくれる会社を選びましょう。すべての関係者にとって効率的なプロセスを確立し、チームに洞察とベストプラクティスを伝えるのが業者の仕事です。
同時に、経済や世界的危機がビジネスにどのような影響を及ぼしても、アウトソーシングによってコスト削減、生産性向上、スタッフに対する人事サービスレベルの改善が可能になります。