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給与計算業務の
真のコストとは?

給与計算業務の真のコストとは?

企業にとって給与計算業務は不可欠です。しかし、実際にどのくらいのコストがかかっているか正確な把握はできているでしょうか? 給与計算業務には、給与や賞与、手当、天引きする社会保険、所得税、住民税の計算だけでなく、システムの導入・運用コスト、人件費、コンプライアンスやセキュリティ対応にかかるコストなど、他にも隠されたコストが数多く存在しています。本記事では、給与計算にかかる「真のコスト」の内訳と、それを最適化する方法についてわかりやすく解説します。

企業の総支出に占める給与関連費用

企業の総支出のうち、給与関連費用が占める割合は50~60%1にのぼります。これには、従業員の給与や賞与だけでなく、社会保険料、税金、給与計算システムの維持費、管理業務にかかる人件費などが含まれています。給与計算のプロセスを見直し、最適化することで、大幅なコスト削減につながる可能性があります。

給与計算業務を自社内で行う場合のコスト

給与計算業務を自社内で従来型のパッケージソフトを利用して行う場合、以下のようなコストが発生します。

  • 給与計算ソフトの購入・ライセンス費用
  • ハードウェアの導入・維持費(サーバーやPCなどのITインフラ)
  • ソフトウェアのインストール・アップデート費用
  • ソフトウェアのトレーニング費用
  • 法改正対応のためのシステム更新・メンテナンス費
  • 給与計算担当者の人件費

とりわけ頻繁に改正される税制や労働法に対応するためのシステム更新や、給与計算担当者の教育・研修コストは見落とされがちです。社内運用は一見コストを抑えられるように思えますが、管理負担やコンプライアンスリスクを考慮すると、必ずしも最適な選択とは限りません。

 クラウド型給与計算システムを導入した場合のコスト

近年、多くの企業がクラウド型の給与計算システムを導入して業務の効率化を図っています。クラウドシステムを導入する場合、トレーニング費用や社内の人件費以外に以下のような費用が発生します。

  • 初期導入費用(システム設定・データ移行など)
  • 月額または年額の利用料(従業員数に応じた料金体系)
  • システムの保守・アップデート費用
  • API連携や追加機能のカスタマイズ費用(必要に応じて)

クラウド型システムのメリットは、法改正に自動対応できる点や、ITインフラの管理負担が軽減される点です。初期コストはかかりますが、長期的に見れば業務負担の軽減やコンプライアンスリスクの低減につながります。

給与計算の隠れたコストを削減するには

給与計算の効率的な運用を実現し、隠れたコストを削減するためには、さまざまな施策が考えられます。

  • ミスの発生率の低減:ミスが発生すると、給与計算結果の修正だけでなく、社会保険や、税務手続きの修正にも余計な時間とコストがかかります。自動化されたシステムを導入すればこれらのコストを削減できます。
  • 法改正への迅速な対応:法改正への迅速な対応ができていないと、誤った計算や、社会保険と税務手続きが行われ、コンプライアンスリスクが発生するだけでなく、従業員が気づいた場合に、従業員からの信頼を失う結果となります。クラウド型の給与計算システムなら、社内のITリソースに負担をかけることなく、タイムリーにアップデートされるので、これらの隠されたコストを回避できます。
  • 労務・税務の業務効率化:社会保険や、年末調整を含めた税務手続きは、社内で行う場合も、社外の社労士や、税理士に依頼する場合も、業務が煩雑なため大きなコストが発生します。e-Gov対応システムの導入や、システムに対応した社労士や税理士への依頼を行うことでコストを削減できます。
  • アウトソーシングの活用:給与計算をアウトソーシングすることで、社労士や、税理士との窓口業務も含めて、社内の業務負担を軽減し、トレーニング費用や人件費を低減できます。

給与計算アウトソーシングという選択肢

給与計算業務には、目に見えないさまざまなコストがかかっています。社内運用、クラウドシステムの利用、アウトソーシングの利用について、それぞれのコストを比較し、自社の状況に最適な方法を選ぶことが大切です。表面的なコストだけでなく、隠されたコストも含めて全体を見直すことで、業務の効率化とコスト削減を同時に実現できます。

近年は、より大きなメリットをもたらす給与計算アウトソーシングという選択肢が、注目されておりますます多くの企業が導入しています。これには、以下のような理由があります。

  • より大きなコスト削減効果
    給与計算を社内で行う場合、専任スタッフの人件費や給与計算ソフトの導入・維持費、コンプライアンス対応にかかる費用が発生します。アウトソーシングを活用すれば、これらのコストを削減し、必要な分だけのサービスを利用できるため、費用対効果が高まります。
  • コンプライアンス対応のさらなる強化
    給与計算に関する税制や労働法は頻繁に変更されるため、常に最新の法規制を把握し、正確に対応することが求められます。専門のアウトソーシング会社に委託すれば、法改正への迅速な対応が可能になり、税務・社会保険のミスによる罰則やペナルティのリスクを軽減できます。
  • 給与計算の精度向上
    給与計算のミスは、従業員の不満や企業の信頼低下につながります。専門のアウトソーシングプロバイダーは、高度なシステムと専門知識を活用して給与計算を行うため、精度が向上し、ミスを最小限に抑えられます。とりわけ海外では、日本とは違い、国にもよりますが7~8割の精度しかない場合があり、コンプライアンスリスクにも繋がります。ADP Research Institute が実施した「働く人びと 2024:世界の労働力の状況」調査では、「常に支払い額が少ない、または支払い額が少ないことがよくある」あるいは「常に支払いが遅れる、または支払いが遅れることがよくある」と回答した従業員の数は 2021 年より増加しています。2
  • 効率的な業務運営と人的資本の可視化
    社内で給与計算を行うと、多くの時間と労力を費やす必要があります。アウトソーシングを活用することで、給与計算の業務負担を軽減し、人事部門や経営陣がより戦略的な業務(人材育成・組織強化など)に集中できるようになります。また、ADP GlobalViewのようなダッシュボード機能を備えたプラットフォームなら人的資本の可視化により戦略的な人事計画の策定も可能になります。代表的なHCMシステムとの自動連携で可視化の範囲も大きく広げることができます。ADPの「給与計算業務のトレンド:グローバル企業向け給与計算調査」では、調査対象の 97%が、給与計算の情報はコスト管理戦略上の重大な懸念事項であると考えており、97%の対象者が、給与計算の情報が経営戦略に欠かせないと考えています。3
  • 最新技術の活用
    アウトソーシング企業の多くは、クラウドベースの給与計算システムやAI技術を活用し、より効率的で柔軟な給与業務の管理プラットフォームを提供しています。これにより、企業は最新のテクノロジーを導入する手間をかけることなく高品質なサービスを利用できます。
  • スケーラビリティ(柔軟性)
    企業の成長に伴い従業員数は増加し、給与計算の業務量も当然、増加していきます。アウトソーシングを活用すれば、給与計算のスキルと経験のある人材が不足している中で、人材の募集や、トレーニングにコストをかけずにより迅速な事業拡大が可能になります。また、従業員数や事業規模の変化に応じて、必要なサービスを柔軟に調整できるため、拡大や縮小、分社化、企業買収による統合などにも対応しやすくなります。
  1. Deloitte、「Labor spending or overspending?」、2017 年
  2. ADP Research Institute、「働く人びと:世界の労働力の状況」、2024 年
  3. ADP、「給与計算業務のトレンド:グローバル企業向け給与計算調査」、2024 年

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